昨日今日君に逢はずてするすべの
たどきを知らに音のみしぞ泣く
- 歌の意味
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昨日も今日もあなたに逢わずにいて、どうしたらよいのか、その手立てもわからず、声をあげて泣いてばかりいる。
- 鑑賞
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巻第十五 中臣宅守狭野弟上娘子贈答歌 3777
詞書は前の歌に続き「中臣朝臣宅守と狭野弟上娘子と贈答する歌」
昨日も今日もあなたに逢わずにいて、どうしたらよいかもわからず泣いてばかりいると詠んだ歌である。日々重なる逢えない時間の中で、なすすべもなく泣くほかない心が表されている。結句「音のみしぞ泣く」は娘子が先に詠んだ本巻の第三千七百六十八首の結句と同じで、泣き暮らす日々が続いていることがうかがえる。
作者の狭野弟上娘子は、宮中の蔵部に仕えた女嬬と呼ばれる下級の女官で、狭野茅上娘子とも記される。
左注に「右二首娘子」とあり、本巻の第三千七百七十七首と第三千七百七十八首の二首は娘子が宅守に贈った歌である。本巻の後半には、中臣宅守と狭野弟上娘子とが交わした贈答歌六十三首が収められている。巻の目録によれば、宅守が蔵部の女嬬であった娘子を娶った時に、勅によって越前国に配流されたという。配流の地は越前国の味真野、現在の福井県越前市付近とされる。
初句「昨日今日」 昨日も今日もの意で、逢えない日が続くさまを示す。
二句「君に逢はずて」 あなたに逢わないでの意である。
三句「するすべの」 「すべ」は方法のことで、どうしたらよいかの方法のの意である。
四句「たどきを知らに」 「たどき」は手段、手がかり、「知らに」は知らないでの意で、手立てもわからずの意である。
結句「音のみしぞ泣く」 「音」は泣く声、「ぞ」は係助詞で、結びは連体形「泣く」となる係り結びである。本巻の第三千七百六十八首と同じ結句である。
すべ:方法、手段
たどき:手段、手がかり
ね:泣く声
- 作者
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狭野弟上娘子
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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今日もかも都なりせば見まく欲り 西の御馬屋の外に立てらまし
- 次の歌
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白栲の我が衣手を取り持ちて 斎へ我が背子直に逢ふまでに