- 歌の意味
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雨に降りこめられて家にこもり、物思いに沈んでいる時に、ほととぎすが、私の住む里にやって来て鳴き響かせる。
- 鑑賞
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巻第十五 中臣宅守狭野弟上娘子贈答歌 3782
詞書は前の歌に続き「中臣朝臣宅守と狭野弟上娘子と贈答する歌」
雨に降りこめられて家にこもり、物思いに沈んでいる時に、ほととぎすが自分の住む里に来て鳴き響かせると詠んだ歌である。雨の日の閉ざされた静けさの中で、ほととぎすの声がいっそう心に響くさまが描かれている。「我が住む里」は配流の地の里を指し、次歌も同じ句を用いている。
作者の中臣宅守は中臣東人の子で、神祇を司る中臣氏の出である。罪を得て越前国に配流されたが、のちに赦されて都に戻った。
左注に「右七首中臣朝臣宅守寄花鳥陳思作歌」とあり、本巻の第三千七百七十九首から第三千七百八十五首までの七首は、宅守が花や鳥に寄せて思いを述べた歌である。七首のうち六首がほととぎすを詠んでいる。本巻の後半には、中臣宅守と狭野弟上娘子とが交わした贈答歌六十三首が収められている。巻の目録によれば、宅守が蔵部の女嬬であった娘子を娶った時に、勅によって越前国に配流されたという。配流の地は越前国の味真野、現在の福井県越前市付近とされる。
初句「雨隠り」 「雨隠る」は雨のために家にこもる意で、雨に降りこめられての意である。
二句「物思ふ時に」 物思いに沈んでいる時にの意で、本巻の第三千七百八十首や第三千七百八十一首と同じ句である。
三句「霍公鳥」 初夏に鳴く鳥で、恋しさをかき立てる声とされた。
四句「我が住む里に」 私が住んでいる里にの意で、配流の地を指す。次歌第三千七百八十三首の四句と同じである。
結句「来鳴き響もす」 「響もす」は鳴き響かせる意で、やって来て鳴き響かせると結ぶ。
あまごもる:雨のために家にこもる
とよもす:鳴き響かせる
さと:人の住む所、村里
- 作者
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中臣宅守
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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旅にして物思ふ時に霍公鳥 もとなな鳴きそ我が恋まさる
- 次の歌
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旅にして妹に恋ふれば霍公鳥 我が住む里にこよ鳴き渡る