否も諾も欲しきまにまに許すべき
顔見ゆるかも我れも寄りなむ
- 歌の意味
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いやでもよいでも、こちらの望むままに許してくださりそうなお顔が見えることだ。私も身を寄せよう。
- 鑑賞
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巻第十六 有由縁并雑歌 3796
詞書は前の歌に続き「娘子らが和ふる歌九首」
いやと言ってもよいと言っても、こちらの思うままに許してくれそうな翁の顔つきを見て、自分も身を寄せようと詠む歌である。翁の寛大な人柄に心を許していく様子が描かれる。
竹取翁の長歌と反歌に、からかっていた九人の娘子が次々に和えた一連である。二首目以降は結句がほぼ「我れも寄りなむ」で統一され、一人また一人と翁に心を寄せていく趣向となっている。
作者は竹取翁に出会った九人の娘子の一人で、名は伝わらない。翁から神仙と呼ばれた、物語上の人物である。
初句「否も諾も」は、いやでもよいでも、の意である。「否」と「諾」という反対の語を並べた表現で、次の第三千七百九十八首にも同じ初句が三句に用いられている。
二句「欲しきまにまに」は、望むままに、の意で、こちらの気持ち次第で、ということをいう。
三句「許すべき」は、許してくださりそうな、の意で、四句の「顔」に係る連体修飾である。
四句「顔見ゆるかも」は、お顔が見えることだ、の意である。「かも」は詠嘆で、ここで句切れとなる四句切れの歌である。
結句「我れも寄りなむ」は、私も身を寄せよう、の意である。前歌の第三千七百九十五首の「我れは寄りなむ」を「我れも」と受け、娘子が次々に翁へ寄っていく一連の型がここから始まる。
を:承諾すること、はいと答えること(「諾」)
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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恥を忍び恥を黙して事もなく 物言はぬさきに我れは寄りなむ
- 次の歌
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死にも生きも同じ心と結びてし 友や違はむ我れも寄りなむ