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あにもあらじおのが身のから人の子の
言も尽さじ我れも寄りなむ

歌の意味
とんでもないことだ。自分の身のことで、ほかの娘たちにあれこれ言葉を尽くさせることはすまい。私も身を寄せよう。
鑑賞
巻第十六 有由縁并雑歌 3799

詞書は前の歌に続き「娘子らが和ふる歌九首」
 自分一人のために、仲間の娘たちにあれこれ言わせるようなことはすまいとして、自分も翁に身を寄せようと詠む歌である。上の句の解釈には諸説があり、難解な一首とされる。
 竹取翁の長歌と反歌に、からかっていた九人の娘子が次々に和えた一連である。二首目以降は結句がほぼ「我れも寄りなむ」で統一され、一人また一人と翁に心を寄せていく趣向となっている。
 作者は竹取翁に出会った九人の娘子の一人で、名は伝わらない。翁から神仙と呼ばれた、物語上の人物である。

 初句「あにもあらじ」は、決してそうではあるまい、とんでもない、の意である。強い打消しの気持ちで歌い起こしている。
 二句「おのが身のから」は、自分の身のせいで、の意である。「から」は原因やゆえんを表す。
 三句「人の子の」は、ほかの人が、の意で、ここでは仲間の娘たちを指すと解される。
 四句「言も尽さじ」は、言葉を尽くさせはすまい、の意である。打消意志の「じ」が初句の「じ」と響き合い、ここで句切れとなる。
 結句「我れも寄りなむ」は、私も身を寄せよう、の意で、一連に共通する結句である。

から:原因、ゆえん(「身のから」で自分自身のせいで)
出典
万葉集
前の歌
何すと違ひは居らむ否も諾も 友のなみなみ我れも寄りなむ
次の歌
はだすすき穂にはな出でそ思ひたる 心は知らゆ我れも寄りなむ