春の野の下草靡き我れも寄り
にほひ寄りなむ友のまにまに
- 歌の意味
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春の野の下草が靡くように、私も寄り添い、色に染まるように心惹かれて寄り添おう、友たちのするとおりに。
- 鑑賞
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巻第十六 有由縁并雑歌 3802
詞書は前の歌に続き「娘子らが和ふる歌九首」
春の野の下草が風に靡くように、自分も友に従って翁に寄り添おうと詠む歌である。九首の一連を締めくくる歌で、娘子たちが皆翁に心を寄せるという結末を、のどかな春の景に託している。
竹取翁の長歌と反歌に、からかっていた九人の娘子が次々に和えた一連である。二首目以降は結句がほぼ「我れも寄りなむ」で統一され、一人また一人と翁に心を寄せていく趣向となっている。
作者は竹取翁に出会った九人の娘子の一人で、名は伝わらない。翁から神仙と呼ばれた、物語上の人物である。
初句「春の野の」は、春の野原の、の意である。竹取翁の題詞が晩春の丘の出来事を語るのに呼応し、一連の結びを春の景で彩っている。
二句「下草靡き」は、下草が靡くように、の意である。風に従う草の姿に、娘子が翁に心を寄せるさまを重ねている。
三句「我れも寄り」は、私も寄り添い、の意である。一連の結句「我れも寄りなむ」を三句に移し、型を変えて変化をつけている。
四句「にほひ寄りなむ」は、色に染まるように寄り添おう、の意である。前歌の第三千八百一首の「にほふ」を受け継ぎ、二首が言葉でつながっている。
結句「友のまにまに」は、友のするとおりに、の意である。倒置によって四句に係り、仲間と共に翁へ従う結末を示して九首を閉じている。
したくさ:木の下や草むらの下に生える草
なびく:風などに従って横に伏す
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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住吉の岸野の榛ににほふれど にほはぬ我れやにほひて居らむ
- 次の歌
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隠りのみ恋ふれば苦し山の端ゆ 出でくる月の顕さばいかに