住吉の小集楽に出でてうつつにも
おの妻すらを鏡と見つも
- 歌の意味
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住吉の歌垣の集いに出て、夢ではなく現実に、自分の妻であるのに、鏡のように輝かしいものとして見たことだ。
- 鑑賞
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巻第十六 有由縁并雑歌 3808
詞書はなく、左注に「右、伝へて云はく、昔者鄙人有り。姓名未詳なり。時に郷里の男女衆集ひて野遊す。この会集の中に鄙人の夫婦有り。その婦、容姿端正にして衆諸に秀れたり。すなはちかの鄙人の意、いよよ妻を愛しむ情を増して、この歌を作りて美貌を賛嘆す」とある
住吉の野遊びの集いに出て、見慣れた自分の妻を、まるで鏡のように輝かしいものとして見直したと詠む歌である。大勢の中で改めて妻の美しさに気づいた夫の喜びと誇らしさが、素朴に表れている。
左注によれば、村の男女が集まって野遊びをした折、ある田舎の夫婦の妻が誰よりも美しかったので、夫はいっそう妻をいとしく思い、この歌を作って妻の美しさを褒めたたえたという。
作者は伝承中の田舎の男で、名は伝わらない。
初句「住吉の」は、摂津国の住吉をいう。娘子らの和歌の第三千八百一首にも「住吉の」とあり、同じ地名が本巻で繰り返し詠まれている。
二句「小集楽に出でて」は、歌垣の集いに出て、の意である。「をづめ」は人々が集まって歌い舞い遊ぶ場をいう。
三句「うつつにも」は、夢ではなく現実に、の意である。
四句「おの妻すらを」は、自分の妻なのに、の意である。「すら」は、見慣れているはずの妻でさえ、という驚きを表す。
結句「鏡と見つも」は、鏡のように見たことだ、の意である。鏡は貴重で輝かしいものの象徴であり、妻の美しさへの賛嘆を示している。
をづめ:野遊びや歌垣のために人々が集まる場
うつつ:夢に対する現実
- 出典
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万葉集
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安積山影さへ見ゆる山の井の 浅き心を我が思はなくに
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