- 歌の意味
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香を塗り清めた塔に近寄るな。川の曲がり目の厠のあたりで糞鮒を食べている、ひどい下女めよ。
- 鑑賞
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巻第十六 有由縁并雑歌 3828
詞書「香、塔、厠、屎、鮒、奴を詠む歌」
香を塗った清らかな塔に近寄るな、川べりで糞鮒を食うひどい下女よと、ののしる歌である。香や塔という尊いものと、厠や屎という卑しいものを一首に並べた落差が、宴の笑いを誘う。
長意吉麻呂の歌八首の一首で、宴席で即興に物の名を詠み込んだ戯れの歌である。題に示されたいくつもの物を一首の中に巧みに詠み込む機知が見どころである。古代には川の上に厠を設けることがあり、川隈はその場所を示している。
作者の長意吉麻呂は持統天皇、文武天皇の時代の宮廷歌人で、長忌寸の姓を持つ。行幸に従った歌や、物名を詠み込んだ即興の歌を多く残している。
初句「香塗れる」は、香を塗った、の意で、題の香を詠み込んでいる。
二句「塔にな寄りそ」は、塔に近寄るな、の意である。題の塔を詠み込み、「な~そ」の禁止で句切れとなる。
三句「川隈の」は、川の曲がって入りこんだ所の、の意で、川の上に設けた厠を暗示している。
四句「屎鮒食める」は、糞を食う鮒を食べている、の意で、題の屎と鮒を詠み込んでいる。
結句「いたき女奴」は、ひどい女の召使いめ、の意で、題の奴を詠み込んでいる。体言止めでののしって結び、聖と俗の対比を際立たせている。
かはくま:川の曲がって入りこんだ所。ここでは厠が設けられた所
めやつこ:女の召使い
- 作者
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長意吉麻呂
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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一二の目のみにはあらず五六三 四さへありけり双六のさえ
- 次の歌
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醤酢に蒜搗きかてて鯛願ふ 我れにな見えそ水葱の羹