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池神の力士舞かも白鷺の
桙啄ひ持ちて飛び渡るらむ

歌の意味
池神の力士舞なのだろうか。白鷺が桙をくわえ持って、飛び渡っていくのは。
鑑賞
巻第十六 有由縁并雑歌 3831

詞書「白鷺の木を啄ひて飛ぶを詠む歌」
 木の枝をくわえて飛ぶ白鷺の姿を、伎楽の力士が桙を持って舞う姿に見立てた歌である。白鷺のくわえた枝を桙に見立てる奇抜な発想で、宴の座を楽しませている。八首の一連を結ぶ一首である。
 長意吉麻呂の歌八首の一首で、宴席で即興に物の名を詠み込んだ戯れの歌である。題に示されたいくつもの物を一首の中に巧みに詠み込む機知が見どころである。
 作者の長意吉麻呂は持統天皇、文武天皇の時代の宮廷歌人で、長忌寸の姓を持つ。行幸に従った歌や、物名を詠み込んだ即興の歌を多く残している。

 初句「池神の」は、池の神の意とも、地名ともされる。
 二句「力士舞かも」は、力士舞なのだろうか、の意で、ここで句切れとなる。力士舞は伎楽の演目の一つで、力士が桙を持って舞った。
 三句「白鷺の」は、白鷺が、の意である。
 四句「桙啄ひ持ちて」は、桙をくわえ持って、の意である。白鷺がくわえた木の枝を桙に見立てている。
 結句「飛び渡るらむ」は、飛び渡っていくのだろう、の意である。現在推量の「らむ」で目の前の情景を推し量り、二句の「かも」と呼応して見立ての面白さを強めている。

りきじまひ:伎楽の演目の一つで、力士が桙を持って舞う
くふ:口にくわえる
ほこ:長い柄の先に刃をつけた武器
作者
長意吉麻呂
出典
万葉集
前の歌
玉掃刈り来鎌麻呂むろの木と 棗が本とかき掃かむため
次の歌
からたちと茨刈り除け倉建てむ 屎遠くまれ櫛造る刀自