ぬばたまの斐太の大黒見るごとに
巨勢の小黒し思ほゆるかも
- 歌の意味
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斐太の大黒を見るたびに、巨勢の小黒のことが思い出されることだ。
- 鑑賞
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巻第十六 有由縁并雑歌 3844
詞書「黒き色を嗤咲ふ歌一首」
色の黒い斐太の大黒を見るたびに、巨勢の小黒が思い出されると詠み、二人の色黒の同僚をまとめてからかう歌である。二人に大黒、小黒とあだ名をつけて並べ、ひとりを見ればもうひとりを思い出すとおどけている。
左注によれば、大舎人の土師宿禰水通、字は志婢麻呂と、大舎人の巨勢朝臣豊人、字は正月麻呂、巨勢斐太朝臣[名は忘れられた。嶋村大夫の子]がいた。豊人と斐太の二人はともに顔色が黒かったので、水通がこの歌を作って笑うと、豊人がそれを聞いて和する歌を作り、笑い返したという。
作者の土師水通は土師宿禰の姓を持つ大舎人で、字を志婢麻呂という。土師氏は埴輪や土器の製作、葬送に関わった氏族である。
初句「ぬばたまの」は、「黒」にかかる枕詞である。ここでは大黒の「黒」を導き、色黒をからかう歌にあえて用いている。
二句「斐太の大黒」は、巨勢斐太朝臣につけたあだ名で、色の黒い大男を意味する。
三句「見るごとに」は、見るたびに、の意である。
四句「巨勢の小黒し」は、巨勢豊人につけたあだ名で、二句の「大黒」と対をなしている。「し」は強意の副助詞である。
結句「思ほゆるかも」は、思い出されることだ、の意である。「思ほゆ」は自然に思われることをいい、詠嘆の「かも」で結んでいる。
おほぐろ:色の黒い大柄な人をからかったあだ名
をぐろ:色の黒い小柄な人をからかったあだ名
- 作者
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土師水通
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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いづくにぞま朱掘る岡薦畳 平群の朝臣が鼻の上を掘れ
- 次の歌
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駒造る土師の志婢麻呂白くあれば うべ欲しからむその黒色を