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法師らが鬚の剃り杭馬繋
いたくな引きそ法師は泣かむ

歌の意味
法師たちの鬚の剃り跡の杭に馬をつないで、ひどく引っ張るな。法師が泣くだろう。
鑑賞
巻第十六 有由縁并雑歌 3846

詞書「戯れに僧を嗤ふ歌一首」
 法師の剃り残した鬚を杭に見立て、そこに馬をつないで強く引くな、法師が泣くからと、僧をからかう歌である。剃った鬚の跡を馬をつなぐ杭にたとえる奇抜な見立てが笑いを誘う。
 次歌の第三千八百四十七首は、からかわれた法師が答えた歌で、二首が戯れの贈答となっている。
 作者は伝わらない。

 初句「法師らが」は、法師たちの、の意である。
 二句「鬚の剃り杭」は、鬚を剃ったあとに伸びた短い鬚を杭に見立てた語である。
 三句「馬繋」は、馬をつないで、の意である。杭の見立てから、馬をつなぐという滑稽な場面へと展開している。
 四句「いたくな引きそ」は、ひどく引っ張るな、の意で、ここで句切れとなる。「な~そ」で禁止を表す。
 結句「法師は泣かむ」は、法師が泣くだろう、の意である。初句の「法師ら」を繰り返して結び、次歌の結句「汝も泣かむ」と対をなしている。

そりくひ:剃ったあとに伸びた短い鬚を杭に見立てた語
出典
万葉集
前の歌
駒造る土師の志婢麻呂白くあれば うべ欲しからむその黒色を
次の歌
壇越やしかもな言ひそ里長が 課役徴らば汝も泣かむ