痩す痩すも生けらばあらむをはたやはた
鰻を捕ると川に流るな
- 歌の意味
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痩せに痩せていても、生きてさえいればそれでよかろうに。ひょっとして、鰻を捕ろうとして川に流されるなよ。
- 鑑賞
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巻第十六 有由縁并雑歌 3854
詞書は前の歌に続き「痩せたる人を嗤咲ふ歌二首」
痩せていても生きていればよいのに、鰻を捕ろうとして川に流されたりするなよと、前歌の勧めを翻してからかう歌である。鰻を食べろと勧めた後で、痩せた体では川に流されかねないと茶化している。
左注によれば、吉田連老、字を石麻呂という人がいた。いわゆる仁敬の子である。この老は体がひどく痩せていて、いくら飲み食いしても飢えた人のような姿であった。そこで大伴宿禰家持が、いささかこの歌を作って戯れ笑ったという。
作者の大伴家持は大伴旅人の子で、越中守などを歴任し、従三位中納言に至った。万葉集の編纂に深く関わったと考えられている。
初句「痩す痩すも」は、痩せに痩せていても、の意である。同じ語を重ねて痩せぶりを強調している。
二句「生けらばあらむを」は、生きていればそれでよかろうに、の意である。八音の字余りで、逆接の「を」で三句以下へ続ける。
三句「はたやはた」は、ひょっとして、もしかすると、の意である。同じ語を重ねて、万一の事態を心配するふりをしている。
四句「鰻を捕ると」は、鰻を捕ろうとして、の意である。前歌の第三千八百五十三首の結句「鰻捕り食せ」を受けている。
結句「川に流るな」は、川に流されるなよ、の意である。前歌で鰻を勧めておきながら、ここでは鰻捕りを戒めるという反転の構図で、二首の笑いを完結させている。
むなぎ:ウナギの古名
- 作者
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大伴家持
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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石麻呂に我れ物申す夏痩せに よしといふものぞ鰻捕り食せ
- 次の歌
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さう莢に延ひおほとれる屎葛 絶ゆることなく宮仕へせむ