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波羅門の作れる小田を食む烏
瞼腫れて幡桙に居り

歌の意味
婆羅門僧正が作った田の稲を食べた烏が、まぶたを腫らして、幡桙にとまっている。
鑑賞
巻第十六 有由縁并雑歌 3856

詞書は前の歌に続き「高宮王の数首の物を詠む歌二首」
 婆羅門の田の稲を盗み食いした烏が、罰が当たってまぶたを腫らし、寺の幡桙にとまっていると詠む歌である。仏法の罰と烏の姿を結びつけた、滑稽な物名の歌である。
 宴席で物の名を詠み込む遊びの歌と考えられる。波羅門は、天竺から来朝して東大寺大仏の開眼供養の導師を務めた菩提僊那、すなわち婆羅門僧正を指すとされる。
 作者の高宮王は伝未詳の王族である。

 初句「波羅門の」は、インドの僧侶階級をいい、ここでは来朝した菩提僊那を指すとされる。異国の僧という珍しい題材を取り入れている。
 二句「作れる小田を」は、作った田を、の意である。
 三句「食む烏」は、その田の稲を食べる烏、の意である。
 四句「瞼腫れて」は、まぶたを腫らして、の意である。仏の田を荒らした罰が当たったさまとも、烏の顔つきを写したものとも解される。
 結句「幡桙に居り」は、幡を掛けた桙にとまっている、の意である。寺の儀式に用いる幡桙を置き、仏法の世界で歌を結んでいる。前歌の第三千八百五十五首が植物を詠んだのに対し、この歌は鳥を詠み、二首が対をなしている。

ばらもに:インドの僧侶階級。ここでは来朝した菩提僊那を指すとされる
まなぶた:まぶた
はたほこ:幡を掛けた桙。寺の儀式などに用いた
作者
高宮王
出典
万葉集
前の歌
さう莢に延ひおほとれる屎葛 絶ゆることなく宮仕へせむ
次の歌
このころの我が恋力記し集め 功に申さば五位の冠