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このころの我が恋力賜らずは
みさとづかさに出でて訴へむ

歌の意味
この頃の私の恋の苦労に褒美をいただけないのなら、京職に出向いて訴え出よう。
鑑賞
巻第十六 有由縁并雑歌 3859

詞書はなく、左注に「右の歌二首」とある
 この頃の恋の苦労に褒美をもらえないなら、京職に訴え出ようと詠む歌である。前歌で恋の苦労を功績に見立てたのを受け、褒美がもらえなければ役所に訴えると、さらに大げさにおどけている。
 左注にはこの歌と次の歌を合わせて「右の歌二首」とのみ記され、作者や由来は伝わらない。恋の苦労を官人の勤務評定になぞらえた、宴席の戯れ歌と考えられる。
 作者は伝わらない。

 初句「このころの」は、前歌の第三千八百五十八首と同じ初句である。
 二句「我が恋力」は、前歌と同じ語で、恋に費やした労力をいう。初句と二句をそっくり共有し、二首が一組であることを示している。
 三句「賜らずは」は、いただけないならば、の意である。前歌の「五位の冠」を受け、その褒美がもらえない場合を想定している。
 四句「みさとづかさに」は、京職に、の意である。京職は都の行政や訴訟をつかさどった役所である。
 結句「出でて訴へむ」は、出向いて訴え出よう、の意である。前歌の功績の申請から、褒美が出なければ訴訟に及ぶという展開で、二首の戯れを完結させている。

みさとづかさ:京職。都の行政や訴訟をつかさどった役所
うれふ:訴え出る、嘆願する
出典
万葉集
前の歌
このころの我が恋力記し集め 功に申さば五位の冠
次の歌
大君の遣はさなくにさかしらに 行きし荒雄ら沖に袖振る