我が門に千鳥しば鳴く起きよ起きよ
我が一夜夫人に知らゆな
- 歌の意味
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我が家の門で鳥たちがしきりに鳴いている。起きて、起きて、一夜限りの私の夫よ。人に知られないように。
- 鑑賞
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巻第十六 有由縁并雑歌 3873
詞書はなく、左注に「右の歌二首」とある
門で鳥がしきりに鳴いて夜明けを告げるので、一夜を共にした男に、人に知られないうちに早く起きて帰ってと促す歌である。夜明けの別れを急かす女の声が、生き生きと写されている。
左注には前歌と合わせて「右の歌二首」とあるのみで、作者や由来は伝わらない。民謡として歌われたものと考えられる。
作者は伝わらない。
初句「我が門に」は、私の家の門で、の意である。前歌の第三千八百七十二首の初句「我が門の」と同じ場面を受けている。
二句「千鳥しば鳴く」は、たくさんの鳥がしきりに鳴く、の意で、ここで句切れとなる。前歌の「千鳥」を受け、待つ夜の鳥から別れの朝の鳥へと転じている。
三句「起きよ起きよ」は、起きなさい、起きなさい、の意である。六音の字余りで、命令形を重ねて急かす口調を表している。
四句「我が一夜夫」は、一夜限りの私の夫よ、の意である。
結句「人に知らゆな」は、人に知られないように、の意である。「知らゆ」は「知る」に受身の「ゆ」が付いた形で、「な」は禁止を表す。来ない恋人を嘆く前歌に対し、来た恋人を急いで帰す歌として、待つ女と帰す女の対をなしている。
ひとよづま:一夜だけ契りを結んだ相手
しらゆ:人に知られる
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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我が門の榎の実もり食む百千鳥 千鳥は来れど君ぞ来まさぬ
- 次の歌
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射ゆ鹿を認ぐ川辺のにこ草の 身の若かへにさ寝し子らはも