紅に染めてし衣雨降りて
にほひはすともうつろはめやも
- 歌の意味
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紅に染めた衣は、雨が降っていっそう色鮮やかになることはあっても、色あせることなどあろうか、いやありはしない。
- 鑑賞
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巻第十六 有由縁并雑歌 3877
詞書「豊後国の白水郎の歌一首」
紅に深く染めた衣は、雨に濡れて色が映えることはあっても、色があせることはないと詠む歌である。紅の衣に変わらない恋心をたとえ、どんなことがあっても心変わりはしないと誓っている。
豊後国の海人の歌として伝わり、前歌の第三千八百七十六首の豊前国の海人の歌と一組をなしている。
作者は豊後国の海人で、名は伝わらない。
初句「紅に」は、紅花で染めた紅色に、の意である。
二句「染めてし衣」は、染めた衣は、の意である。完了の「つ」と過去の「き」で、深く染め上げたことを示している。
三句「雨降りて」は、雨が降って、の意である。前歌の第三千八百七十六首が袖の濡れることを詠んだのに続き、ここでも衣が濡れることを詠んでいる。
四句「にほひはすとも」は、色が美しく映えることはあっても、の意である。
結句「うつろはめやも」は、色あせることがあろうか、いやない、の意である。「やも」が反語を表し、恋心の変わらないことを誓っている。
うつろふ:色があせる、心変わりする
にほふ:色が美しく映える
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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豊国の企救の池なる菱の末を 摘むとや妹がみ袖濡れけむ
- 次の歌
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大野道は茂道茂路茂くとも 君し通はば道は広けむ