人魂のさ青なる君がただひとり
逢へりし雨夜の葉非左し思ほゆ
- 歌の意味
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人魂のように真っ青な顔をしたあなたに、ただ一人で出逢った雨の夜のことが思い出される。
- 鑑賞
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巻第十六 有由縁并雑歌 3889
詞書は前の歌に続き「怕ろしき物の歌三首」
人魂のように真っ青なあなたに、ただ一人で出逢った雨の夜が思い出されると詠む歌である。雨の夜に青白い人魂のような人と出逢った恐ろしさを、ひそやかに回想している。巻第十六の最後の歌である。
「怕ろしき物の歌」三首は、天上の野、沖の彼方の国、人魂と、この世ならぬ世界の恐ろしさを詠んだ一連で、巻第十六の巻末に置かれている。宴席で座の者を怖がらせるために誦された歌とも考えられる。四句末の「葉非左」は読み方が定まらない難訓の語で、ここでは文字の音に従って仮に「はひさ」と読む。
作者は伝わらない。
初句「人魂の」は、人の魂の、の意である。人の体から抜け出て青白く光るものとされた。巻頭の第三千七百八十六首が娘子の死を悼む歌で始まったのに対し、巻末は人魂の歌で閉じられ、生と死をめぐる歌が巻の初めと終わりで呼応している。
二句「さ青なる君が」は、真っ青なあなたが、の意である。「さ」は接頭語で、人魂のように青ざめた相手の姿をいう。
三句「ただひとり」は、ただ一人で、の意である。恐ろしい相手と一人きりで向き合った心細さを強めている。
四句「逢へりし雨夜の」は、出逢った雨の夜の、の意である。八音の字余りで、雨の夜という不気味な場面を設定している。
結句「葉非左し思ほゆ」は、雨の夜の何かが思い出される、の意である。「葉非左」は難訓で意味が定まらず、「し」は強意の副助詞、「思ほゆ」は自然に思い出されることをいう。解けない語を残したまま、巻第十六は閉じられている。
ひとだま:人の体から抜け出て青白く光るとされた魂
さを:真っ青なこと
- 出典
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万葉集
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沖つ国うしはく君の塗り屋形 丹塗りの屋形神の門渡る
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我が背子を安我松原よ見わたせば 海人娘子ども玉藻刈る見ゆ