- 歌の意味
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旅に出て行くあなたが無事であるようにと、斎瓮を据えて祈った、私の寝床のほとりに。
- 鑑賞
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巻第十七 3927
詞書「大伴宿祢家持、天平十八年閏七月をもちて越中国守に任ぜらる。すなはち七月を取りて任所に赴く。時に、姑大伴氏坂上郎女の家持に贈る歌二首」
旅に出るあなたが無事であるようにと、私の寝床のそばに斎瓮を据えて祈った、と旅立つ家持の無事を願う歌である。天平十八年(746)、越中守に任じられて任地へ旅立つ家持に、叔母であり姑でもある坂上郎女が贈った二首の一つである。斎瓮を据えて神を祭るのは旅人の無事を祈る古くからの習わしであり、遠い越中へ向かう甥を思う深い愛情がこめられている。
作者の大伴坂上郎女は大伴安麻呂の娘で、旅人の異母妹にあたる。家持の叔母であり、娘の坂上大嬢が家持の妻となったので姑でもある。
初句「草枕」は旅にかかる枕詞である。
二句「旅行く君を」は、旅に出て行くあなたを、の意で、越中へ赴任する家持を指す。
三句「幸くあれと」の「幸く」は無事で、の意で、無事であれと、と祈りの言葉を引いている。
四句「斎瓮据ゑつ」の「斎瓮」は神を祭るための神聖な瓶で、それを据えたことをいう。「つ」は完了の助動詞で、ここで句切れとなる。
結句「我が床の辺に」は、私の寝床のほとりに、の意で、斎瓮を据えた場所を倒置によって後から示している。次の二首の結びの第三千九百三十首も国つ神に家持の加護を祈っており、贈った四首が祈りの歌で始まり祈りの歌で終わっている。
いはひへ:神を祭るために用いる神聖な瓶
さきく:無事で。つつがなく
くさまくら:旅にかかる枕詞
- 作者
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大伴坂上郎女
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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大宮の内にも外にも光るまで 降れる白雪見れど飽かぬかも
- 次の歌
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今のごと恋しく君が思ほえば いかにかもせむするすべのなさ