今のごと恋しく君が思ほえば
いかにかもせむするすべのなさ
- 歌の意味
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今のように恋しくあなたのことが思われるならば、どうしたらよいのだろう。なすすべのないことよ。
- 鑑賞
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巻第十七 3928
詞書は前の歌に続き「大伴宿祢家持、天平十八年閏七月をもちて越中国守に任ぜらる。すなはち七月を取りて任所に赴く。時に、姑大伴氏坂上郎女の家持に贈る歌二首」
旅立つ今からこれほど恋しく思われるのなら、この先どうしたらよいのだろう、なすすべもない、と別れの悲しみを詠んだ歌である。天平十八年(746)、越中守に任じられて任地へ旅立つ家持に、叔母であり姑でもある坂上郎女が贈った二首の一つである。別れの時点ですでにつのる恋しさに、これから続く長い不在を思いやり、途方に暮れる心を率直に表している。
作者の大伴坂上郎女は大伴安麻呂の娘で、旅人の異母妹にあたる。家持の叔母であり、娘の坂上大嬢が家持の妻となったので姑でもある。
初句「今のごと」は、今のように、の意で、旅立ちの今の時点を示している。
二句「恋しく君が」は、あなたが恋しく、の意である。
三句「思ほえば」は、思われるならば、の意で、未然形に「ば」が付いた仮定条件である。
四句「いかにかもせむ」の「か」は疑問の係助詞で、推量の「む」の連体形「せむ」と係り結びをなす。どうしたらよいのだろうか、の意で、ここで句切れとなる。
結句「するすべのなさ」は、なすべき方法のないことよ、の意で、体言止めによって途方に暮れる嘆きを強めている。
すべ:方法。手段
- 作者
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大伴坂上郎女
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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草枕旅行く君を幸くあれと 斎瓮据ゑつ我が床の辺に
- 次の歌
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旅に去にし君しも継ぎて夢に見ゆ 我が片恋の繁ければかも