旅に去にし君しも継ぎて夢に見ゆ
我が片恋の繁ければかも
- 歌の意味
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旅に去って行ったあなたが、続けて夢に見える。私の片思いがしきりだからだろうか。
- 鑑賞
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巻第十七 3929
詞書「更に越中国に贈る歌二首」
旅立って行ったあなたが毎夜続けて夢に見える、それは私の片思いがしきりだからだろうか、と遠く離れた家持への思いを詠んだ歌である。家持が越中に下った後、坂上郎女が重ねて越中へ贈った二首の一つである。古代には、相手が自分を思うと夢に現れるとも、自分が思うから夢に見るとも考えられたが、本歌は自らの片思いのためと詠み、思いの深さを表している。
作者の大伴坂上郎女は大伴安麻呂の娘で、旅人の異母妹にあたる。家持の叔母であり、娘の坂上大嬢が家持の妻となったので姑でもある。
初句「旅に去にし」は、旅に去って行った、の意で、「し」は過去の助動詞「き」の連体形である。
二句「君しも継ぎて」の「しも」は強意で、ほかならぬあなたが、の意、「継ぎて」は引き続いて、毎夜続けて、の意である。
三句「夢に見ゆ」の「夢」は「いめ」と読み、夢に見える、の意で、ここで句切れとなる。
四句「我が片恋の」は、私の一方的な恋の、の意である。
結句「繁ければかも」は、しきりであるからだろうか、の意で、「かも」は疑問をこめた詠嘆である。夢に見る理由を自らの思いに求めて結んでいる。
いめ:夢
かたこひ:片思い。一方的な恋
- 作者
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大伴坂上郎女
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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今のごと恋しく君が思ほえば いかにかもせむするすべのなさ
- 次の歌
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道の中国つみ神は旅行きも し知らぬ君を恵みたまはな