君により我が名はすでに龍田山
絶えたる恋の繁きころかも
- 歌の意味
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あなたのせいで私の浮き名はもう立ってしまった。その龍田山の名のように、絶えてしまったはずの恋がかえってしきりに思われるこの頃であることだ。
- 鑑賞
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巻第十七 3931
詞書「平群氏女郎、越中守大伴宿祢家持に贈る歌十二首」
あなたのために噂はすでに立ってしまい、途絶えたはずの恋が今かえってしきりに思われる、と離れていった恋人への思いを詠んだ歌である。越中守として都を離れた家持に、平群氏女郎が折々に使いに託して贈った十二首の一つである。噂ばかりが残って逢うことの絶えた恋の苦しさを、龍田山の名を用いた言葉の技巧で表している。
作者の平群氏女郎は平群氏の女性で、伝は未詳である。家持と恋の歌を交わした女性の一人である。
左注に「右の件の十二首の歌は、時々に便使に寄せて来贈す。一度に送るところにあらず」とある。
初句「君により」は、あなたのために、あなたのせいで、の意である。
二句「我が名はすでに」の「名」は評判、噂のことで、二人の仲がすでに人に知られてしまったことをいう。
三句「龍田山」は大和国の山で、二句から続けて「名は立つ」の「立つ」を掛け、さらに「たつ」の音を重ねて四句の「絶え」を導いている。掛詞と同音の反復を組み合わせた技巧的な句である。
四句「絶えたる恋の」は、途絶えてしまった恋の、の意で、家持が遠く越中に去ったことを踏まえている。
結句「繁きころかも」は、しきりに思われる頃であることだ、の意で、「かも」は詠嘆である。絶えたはずの恋がかえって繁くなる逆説を詠んでいる。
たつたやま:大和国の山。名が「立つ」意を掛ける
な:評判。噂
- 作者
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平群女郎
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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道の中国つみ神は旅行きも し知らぬ君を恵みたまはな
- 次の歌
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須磨人の海辺常去らず焼く塩の 辛き恋をも我れはするかも