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ありさりて後も逢はむと思へこそ
露の命も継ぎつつ渡れ

歌の意味
このまま生きながらえて、後にでも逢おうと思うからこそ、露のようにはかない命もつなぎながら過ごしているのだ。
鑑賞
巻第十七 3933

詞書は前の歌に続き「平群氏女郎、越中守大伴宿祢家持に贈る歌十二首」
 このまま生き続けて後にでも逢おうと思うからこそ、露のようにはかない命をつなぎながら日々を過ごしている、と再会への望みを支えに生きる心を詠んだ歌である。越中守として都を離れた家持に、平群氏女郎が折々に使いに託して贈った十二首の一つである。逢えない日々のつらさのなかで、再会の望みだけが命をつなぐ支えとなっていることを述べている。
 作者の平群氏女郎は平群氏の女性で、伝は未詳である。家持と恋の歌を交わした女性の一人である。
 左注に「右の件の十二首の歌は、時々に便使に寄せて来贈す。一度に送るところにあらず」とある。

 初句「ありさりて」は、このままの状態で月日を過ごして、の意である。
 二句「後も逢はむと」は、後にでも逢おうと、の意で、「む」は意志を表す。
 三句「思へこそ」は已然形に「こそ」が付いた形で、思うからこそ、の意である。「こそ」は結句の「渡れ」(已然形)と係り結びをなす。
 四句「露の命も」は露のようにはかない命で、はかなさの比喩である。
 結句「継ぎつつ渡れ」は、命をつなぎつつ過ごしているのだ、の意である。次歌の第三千九百三十四首では一転して「なかなかに死なば安けむ」と死を口にし、生きながらえる心と死を思う心とが並べられている。

ありさる:そのままの状態で月日を過ごす
わたる:時を過ごす
作者
平群女郎
出典
万葉集
前の歌
須磨人の海辺常去らず焼く塩の 辛き恋をも我れはするかも
次の歌
なかなかに死なば安けむ君が目を 見ず久ならばすべなかるべし