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草枕旅去にし君が帰り来む
月日を知らむすべの知らなく

歌の意味
旅に去って行ったあなたが帰って来る月日を知る方法がわからないことよ。
鑑賞
巻第十七 3937

詞書は前の歌に続き「平群氏女郎、越中守大伴宿祢家持に贈る歌十二首」
 旅立って行ったあなたがいつ帰って来るのか、その月日を知るすべもない、と再会の日を待ちわびる歌である。越中守として都を離れた家持に、平群氏女郎が折々に使いに託して贈った十二首の一つである。帰りの日のわからない遠い任地にある恋人を待つ心細さを、素直な言葉で表している。
 作者の平群氏女郎は平群氏の女性で、伝は未詳である。家持と恋の歌を交わした女性の一人である。
 左注に「右の件の十二首の歌は、時々に便使に寄せて来贈す。一度に送るところにあらず」とある。

 初句「草枕」は旅にかかる枕詞で、前歌の第三千九百三十六首と同じ歌い起こしである。
 二句「旅去にし君が」は、旅に去って行ったあなたが、の意で、字余り(八音)である。
 三句「帰り来む」は、帰って来るであろう、の意で、四句の「月日」を修飾している。
 四句「月日を知らむ」は、その月日を知る、の意である。
 結句「すべの知らなく」の「知らなく」は「知らず」のク語法で、方法がわからないことよ、という詠嘆である。本巻の第三千八百九十二首の結句「磯の知らなく」と同じ語法で、行方の知れない旅をめぐる不安が共通している。

すべ:方法。手段
作者
平群女郎
出典
万葉集
前の歌
草枕旅にしばしばかくのみや 君を遣りつつ我が恋ひ居らむ
次の歌
かくのみや我が恋ひ居らむぬばたまの 夜の紐だに解き放けずして