松の花花数にしも我が背子が
思へらなくにもとな咲きつつ
- 歌の意味
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松の花は、花の数のうちにもあなたは思っていないのに、むやみに咲き続けて。
- 鑑賞
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巻第十七 3942
詞書は前の歌に続き「平群氏女郎、越中守大伴宿祢家持に贈る歌十二首」
松の花など、あなたは花の数のうちにも入れてくれないのに、それでもむやみに咲き続けている、と顧みられない自らを松の花に託した歌である。越中守として都を離れた家持に、平群氏女郎が折々に使いに託して贈った十二首の一つである。目立たない松の花に、恋人に顧みられないまま待ち続ける自分を重ね、十二首を結んでいる。
作者の平群氏女郎は平群氏の女性で、伝は未詳である。家持と恋の歌を交わした女性の一人である。
左注に「右の件の十二首の歌は、時々に便使に寄せて来贈す。一度に送るところにあらず」とある。
初句「松の花」は目立たない松の花で、「松」に「待つ」を掛け、恋人を待ち続ける自らをなぞらえている。前歌の第三千九百四十一首の「君をし待たむ」を受けた歌い起こしである。
二句「花数にしも」は、花の数のうちにも、の意で、「しも」は強意である。
三句「我が背子が」は、私の愛する人が、の意で、家持を指す。
四句「思へらなくに」は、思っていないのに、の意で、逆接で結句に続く。
結句「もとな咲きつつ」の「もとな」はむやみに、の意で、本巻の第三千九百三十九首と同じ語である。「つつ」で言いさして余情を残し、十二首を閉じている。
まつ:松に「待つ」を掛ける
はなかず:花の数。花として数えられるもの
- 作者
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平群女郎
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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鴬の鳴くくら谷にうちはめて 焼けは死ぬとも君をし待たむ
- 次の歌
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秋の田の穂向き見がてり我が背子が ふさ手折り来るをみなへしかも