秋の田の穂向き見がてり我が背子が
ふさ手折り来るをみなへしかも
- 歌の意味
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秋の田の稲穂の実り具合を見て回りがてら、あなたがたくさん手折って来たおみなえしであることよ。
- 鑑賞
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巻第十七 3943
詞書「八月七日の夜に、守大伴宿祢家持の舘に集ひて宴する歌」
秋の田の稲穂の実り具合を見回るついでに、あなたがたくさん手折って来てくれたおみなえしであることよ、と宴に持ち寄られた花を喜ぶ歌である。天平十八年(746)八月七日の夜、越中に着任して間もない守家持の館に、国府の官人たちが集って催した宴の歌の一つである。宴の冒頭に主人の家持が、客の官人が摘んで来たおみなえしを讃えて歓迎の心を示している。
作者の大伴家持は大納言大伴旅人の子である。天平十八年(746)に越中守となって五年を越中で過ごし、のちに少納言、因幡守などを歴任して中納言に至った。万葉集の編纂に深く関わったと考えられている人物である。
左注に「右の一首は守大伴宿祢家持の作」とある。
初句「秋の田の」は、国司の職務として見回る秋の田を示している。
二句「穂向き見がてり」の「穂向き」は稲穂の垂れ具合、すなわち実りの様子で、「がてり」は、…のついでに、の意である。
三句「我が背子が」は親しい男性への呼びかけで、ここでは同僚の官人を指す。
四句「ふさ手折り来る」の「ふさ」はたくさん、の意である。「来る」は「ける」と読み、手折って来た、の意となる。
結句「をみなへしかも」は、おみなえしであることよ、という詠嘆である。次歌の第三千九百四十四首はこの「をみなへし」を受けて歌い起こし、第三千九百五十一首でも詠まれて、宴の歌をつなぐ景物となっている。
ほむき:稲穂の垂れる向き。実りの様子
ふさ:たくさん。どっさり
をみなへし:秋の七草の一つ。黄色の小花を咲かせる
- 作者
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大伴家持
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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松の花花数にしも我が背子が 思へらなくにもとな咲きつつ
- 次の歌
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をみなへし咲きたる野辺を行き廻り 君を思ひ出た廻り来ぬ