奈呉の海人の釣する舟は今こそば
舟棚打ちてあへて漕ぎ出め
- 歌の意味
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奈呉の海人の釣りをする舟は、今こそ舟棚を打ち鳴らして、思い切って漕ぎ出すがよい。
- 鑑賞
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巻第十七 3956
詞書「大目秦忌寸八千嶋の館にして宴する歌一首」
奈呉の海人の釣り舟よ、今こそ舟棚を打ち鳴らして思い切って漕ぎ出せ、と海に向かって呼びかけた歌である。左注によれば、八千島の館の客間からは居ながらにして青い海が望まれ、主人の八千島がこの歌を作ったという。眼前の海の景を客に見せようと、漕ぎ出す舟に呼びかけて宴を盛り上げている。
作者の秦八千島は越中国の大目(国司の四等官)を務めた官人で、伝は未詳である。
左注に「右、館の客屋は居ながらにして蒼海を望む。よりて主人八千嶋この歌を作る」とある。
初句「奈呉の海人の」の奈呉は現在の富山県射水市の放生津付近の海で、字余り(六音)である。本巻の第四千十七首も「奈呉の海人の釣する小船」と同じ景を詠んでいる。
二句「釣する舟は」は、釣りをする舟は、の意で、海人の舟に呼びかけている。
三句「今こそば」の「こそ」は強意の係助詞で、結句の「め」(推量の助動詞「む」の已然形)と係り結びをなす。
四句「舟棚打ちて」の「舟棚」は船べりに渡した板で、それを打ち鳴らして漕ぎ出す勢いを表している。
結句「あへて漕ぎ出め」の「あへて」は思い切って、の意で、漕ぎ出すがよい、と勧めている。
ふなだな:船べりに取り付けた板
なご:越中国の地名。現在の射水市放生津付近の海
- 作者
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秦八千島
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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ぬばたまの夜は更けぬらし玉櫛笥 二上山に月かたぶきぬ
- 次の歌
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ま幸くと言ひてしものを白雲に 立ちたなびくと聞けば悲しも