二上のをてもこのもに網さして
我が待つ鷹を夢に告げつも
- 歌の意味
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二上山のあちら側にもこちら側にも網を張って私が待っている鷹のことを、夢に告げてくれたことだ。
- 鑑賞
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巻第十七 4013
詞書は前の歌に続き「放逸せる鷹を思ひ、夢に見て感悦して作る歌一首并せて短歌」の反歌
二上山のあちらこちらに網を張って待っている鷹のことを、夢に告げてくれた、と夢のお告げを喜ぶ歌である。天平十九年(747)九月二十六日、逃げた鷹を思い、夢のお告げを得て喜んだ家持が詠んだ長歌に添えた反歌である。左注によれば、射水郡古江村で捕らえた蒼鷹は姿が美しく、雉を捕ることに抜きん出ていたが、鷹飼の山田史君麻呂が調教の時節を誤り、狩りの最中に風に乗って高く飛び去り、雲に隠れて呼んでも戻らなかった。そこで網を張り、神々に幣を奉って祈っていたところ、夢に娘子が現れ、あの鷹は遠からず手に入るから思い悩むなと告げたので、目覚めて喜び、恨みを払う歌を作ったという。鷹が戻るのを待ち望む心に、夢の娘子のお告げがもたらした喜びを詠んでいる。
作者の大伴家持は大納言大伴旅人の子である。天平十八年(746)に越中守となって五年を越中で過ごし、のちに少納言、因幡守などを歴任して中納言に至った。万葉集の編纂に深く関わったと考えられている人物である。
左注は鷹が逃げた経緯と夢のお告げを記し、末尾に「守大伴宿祢家持(九月二十六日作る)」とある。
初句「二上の」は越中国府の北にそびえる二上山で、長歌では鷹がこの山を飛び越えて去ったと詠まれている。
二句「をてもこのもに」は、あちらの面にもこちらの面にも、の意で、山のあらゆる方面を表す。
三句「網さして」は鳥網を張って、の意である。旧都にひとり住んだ折の第三千九百十七首と第三千九百十八首でも霍公鳥を網で留めたいと詠んでおり、鳥を引き留めたい心が網に託されている。
四句「我が待つ鷹を」は、私が戻るのを待っている鷹を、の意である。
結句「夢に告げつも」は、夢に告げてくれたことだ、の意で、「も」は詠嘆である。左注にいう娘子の夢のお告げを指している。
をてもこのも:あちらの面とこちらの面
いめ:夢
- 作者
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大伴家持
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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矢形尾の鷹を手に据ゑ三島野に 猟らぬ日まねく月ぞ経にける
- 次の歌
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松反りしひにてあれかもさ山田の 翁がその日に求めあはずけむ