天離る鄙ともしるくここだくも
繁き恋かもなぐる日もなく
- 歌の意味
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都から遠い鄙であるのがはっきりわかるほど、これほどにもしきりな恋しさであることよ。心の和む日もなく。
- 鑑賞
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巻第十七 4019
詞書なし(前の歌に続き、題詞を欠き、左注に「右の四首は、天平二十年春正月二十九日、大伴宿祢家持」とある)
都から遠い鄙の地であることがはっきりわかるほど、これほどにも都を恋う思いがしきりで、心の和む日もない、と望郷の念を詠んだ歌である。天平二十年(748)正月二十九日、越中の家持が詠んだ四首の一つである。前の二首の海辺の景から一転して、遠い任地にある身の都恋しさを率直に述べている。
作者の大伴家持は大納言大伴旅人の子である。天平十八年(746)に越中守となって五年を越中で過ごし、のちに少納言、因幡守などを歴任して中納言に至った。万葉集の編纂に深く関わったと考えられている人物である。
初句「天離る」は鄙にかかる枕詞である。
二句「鄙ともしるく」の「しるし」ははっきりしている意で、鄙であることがはっきりわかるほどに、の意である。
三句「ここだくも」は、こんなにもひどく、の意である。
四句「繁き恋かも」は、しきりな恋しさであることよ、の意で、ここで句切れとなる。恋の対象は都や都の人々である。
結句「なぐる日もなく」の「なぐ」は心が和む、穏やかになる意で、心の和む日もなく、と倒置によって嘆きを添えている。
なぐ:心が和む。穏やかになる
ここだく:こんなにもひどく。たいそう
- 作者
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大伴家持
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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港風寒く吹くらし奈呉の江に 妻呼び交し鶴多に鳴く
- 次の歌
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越の海の信濃の浜を行き暮らし 長き春日も忘れて思へや