婦負川の早き瀬ごとに篝さし
八十伴の男は鵜川立ちけり
- 歌の意味
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婦負川の流れの速い瀬ごとに篝火をともして、多くの官人たちが鵜飼をしていることだ。
- 鑑賞
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巻第十七 4023
詞書「鵜を潜くる人を見て作る歌一首」
婦負川の流れの速い瀬ごとに篝火をともし、多くの官人たちが鵜飼をしている、とその情景を詠んだ歌である。天平二十年(748)の春、出挙のために越中の諸郡を巡行した家持が、その時その所で目にしたものを詠んだ歌の一つである。出挙は春に稲を貸し付け、秋の収穫後に利息とともに返させる制度で、国司はそのために管内を巡った。夜の川面に篝火が連なる鵜飼の華やかな光景を、巡行の途上で目にしたものとして描いている。
作者の大伴家持は大納言大伴旅人の子である。天平十八年(746)に越中守となって五年を越中で過ごし、のちに少納言、因幡守などを歴任して中納言に至った。万葉集の編纂に深く関わったと考えられている人物である。
左注に「右の件の歌詞は、春の出挙によりて諸郡を巡行し、時に当たり所に当たりて属目して作る。大伴宿祢家持」とある。
初句「婦負川の」は婦負郡を流れる川で、字余り(六音)である。高市黒人の第四千十六首にも「婦負の野」が詠まれている。
二句「早き瀬ごとに」は、流れの速い瀬のそれぞれに、の意である。本巻の第四千二十八首の「清き瀬ごとに」と同じく、川の瀬を一つ一つたどる言い方である。
三句「篝さし」は篝火をともして、の意で、夜の鵜飼の光景を表している。
四句「八十伴の男は」は朝廷に仕える多くの官人たちのことで、ここでは国府の官人たちを指す。
結句「鵜川立ちけり」の「鵜川立つ」は鵜飼をする意で、「けり」は詠嘆である。
うかはたつ:川で鵜飼をする
やそとものを:朝廷に仕える多くの官人
かがり:夜の漁などでともす篝火
- 作者
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大伴家持
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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鵜坂川渡る瀬多みこの我が馬の 足掻きの水に衣濡れにけり
- 次の歌
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立山の雪し消らしも延槻の 川の渡り瀬鐙漬かすも