- 歌の意味
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立山の雪が解けているらしい。延槻川の渡り瀬では、水が馬の鐙をひたすほどだ。
- 鑑賞
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巻第十七 4024
詞書「新川郡にして延槻河を渡る時に作る歌一首」
延槻川の渡り瀬の水が鐙をひたすほど増しているのは、立山の雪が解けているかららしい、と春の川の様子から立山の雪解けを推し量った歌である。天平二十年(748)の春、出挙のために越中の諸郡を巡行した家持が、その時その所で目にしたものを詠んだ歌の一つである。出挙は春に稲を貸し付け、秋の収穫後に利息とともに返させる制度で、国司はそのために管内を巡った。目の前の増水から遠くの立山の雪解けを思いやり、雄大な自然の営みをとらえている。
作者の大伴家持は大納言大伴旅人の子である。天平十八年(746)に越中守となって五年を越中で過ごし、のちに少納言、因幡守などを歴任して中納言に至った。万葉集の編纂に深く関わったと考えられている人物である。
左注に「右の件の歌詞は、春の出挙によりて諸郡を巡行し、時に当たり所に当たりて属目して作る。大伴宿祢家持」とある。
初句「立山の」は新川郡にそびえる立山で、家持が「立山の賦」で讃えた山である。
二句「雪し消らしも」の「し」は強意、「消」は「く」と読み、「らし」は根拠に基づく推定、「も」は詠嘆である。雪が解けているらしい、の意で、ここで句切れとなり、根拠を下の句で示す。夏も消えない雪を讃えた第四千一首とは対照的に、春の雪解けを詠んでいる。
三句「延槻の」は延槻川で、現在の早月川にあたるとされる。
四句「川の渡り瀬」は川を渡る浅瀬のことである。
結句「鐙漬かすも」の「鐙」は馬に乗る際に足をかける馬具で、それが水につかるほどだ、の意である。「も」は詠嘆である。
あぶみ:馬に乗る際に足をかける馬具
く:消える。雪が解ける
はひつき:越中国新川郡の川。現在の早月川とされる
- 作者
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大伴家持
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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婦負川の早き瀬ごとに篝さし 八十伴の男は鵜川立ちけり
- 次の歌
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志雄路から直越え来れば羽咋の海 朝なぎしたり船楫もがも