玉櫛笥いつしか明けむ布勢の海の
浦を行きつつ玉も拾はむ
- 歌の意味
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早く夜が明けてほしいものだ。布勢の海の浦を行きながら、美しい玉も拾おう。
- 鑑賞
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巻第十八 4038
詞書は前の歌に続き「時に、明日布勢の水海に遊覧せむと期し、仍りて懐を述べて各作る歌」
早く夜が明けてほしい、布勢の海の浦を歩きながら美しい玉を拾おうと、翌日の遊覧を待ちかねる気持ちを詠む。家持の答えを受けて、まだ見ぬ布勢の浦への期待がいっそう高まったことを示している。
作者の田辺福麻呂は造酒司の令史で、左大臣橘諸兄の使いとして越中を訪れた。宮廷を讃える長歌を得意とした万葉集後期の歌人である。
左注によれば、この歌から本巻の第四千四十二首までの五首が福麻呂の作である。
初句「玉櫛笥」櫛などを入れる美しい箱のことで、蓋を開けることから「明け」にかかる枕詞である。結句の「玉」と響き合う。
二句「いつしか明けむ」「いつしか」は早く〜してほしいという願望を表し、「む」と呼応する。夜明けを待ちかねる気持ちで、ここで二句切れとなる。
三句「布勢の海の」前歌の「乎布の崎」や「浦」を受けて、遊覧先の布勢の海を名指す。
四句「浦を行きつつ」「つつ」は継続を表し、浦伝いに歩き続けるさまをいう。
結句「玉も拾はむ」「玉」は美しい小石や貝のことで、旅の記念に拾うものとして詠まれる。「む」は意志の助動詞である。初句の枕詞「玉櫛笥」の「玉」を再び響かせて結んでいる。
たまくしげ:櫛などを入れる美しい箱。「明く」「開く」などにかかる枕詞
ひりふ:拾う
- 作者
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田辺福麻呂
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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乎布の崎漕ぎた廻りひねもすに 見とも飽くべき浦にあらなくに
- 次の歌
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音のみに聞きて目に見ぬ布勢の浦を 見ずは上らじ年は経ぬとも