布勢の浦を行きてし見てばももしきの
大宮人に語り継ぎてむ
- 歌の意味
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布勢の浦に行って見たならば、都の大宮人たちに語り伝えよう。
- 鑑賞
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巻第十八 4040
詞書は前の歌に続き「時に、明日布勢の水海に遊覧せむと期し、仍りて懐を述べて各作る歌」
布勢の浦を実際に見たなら、都の宮廷人たちに語り伝えようと詠む。都から来た使者らしく、地方の名所を宮廷に伝える役目を自ら引き受けることで、越中の土地とその守である家持をたたえている。
作者の田辺福麻呂は造酒司の令史で、左大臣橘諸兄の使いとして越中を訪れた。宮廷を讃える長歌を得意とした万葉集後期の歌人である。
初句「布勢の浦を」前歌と同じく布勢の浦で歌い起こし、一連の主題を受け継いでいる。
二句「行きてし見てば」「し」は強意の副助詞、「て」は完了の助動詞の未然形で、「ば」とともに、実際に行って見たならばという仮定を表す。
三句「ももしきの」宮廷を表す「大宮」にかかる枕詞である。
四句「大宮人に」宮廷に仕える人々を指す。都の人々を相手に語る場面を想像している。
結句「語り継ぎてむ」「て」は強意、「む」は意志の助動詞で、きっと語り伝えようという強い気持ちを表す。前歌の「見ずは上らじ」を受け、見てから都へ上るという筋道が一連の中で整っている。
ももしき:「大宮」にかかる枕詞
おほみやひと:宮廷に仕える人々
- 作者
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田辺福麻呂
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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音のみに聞きて目に見ぬ布勢の浦を 見ずは上らじ年は経ぬとも
- 次の歌
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梅の花咲き散る園に我れ行かむ 君が使を片待ちがてら