梅の花咲き散る園に我れ行かむ
君が使を片待ちがてら
- 歌の意味
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梅の花が咲いては散る園に、私は行こう。あなたからの使いを、ひたすら待ちながら。
- 鑑賞
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巻第十八 4041
詞書は前の歌に続き「時に、明日布勢の水海に遊覧せむと期し、仍りて懐を述べて各作る歌」
梅の花が咲いては散る園に行こう、あなたからの使いをひたすら待ちながら、と詠む。布勢の浦への遊覧を詠む前後の歌とは趣が異なり、待つ人の心を梅の園に託した歌である。宴の席で福麻呂が披露した歌として、遊覧の誘いを待つ心を重ねて聞くこともできる。
作者の田辺福麻呂は造酒司の令史で、左大臣橘諸兄の使いとして越中を訪れた。宮廷を讃える長歌を得意とした万葉集後期の歌人である。
初句「梅の花」春の花を歌い起こす。続く本巻の第四千四十二首では藤の花が詠まれ、梅から藤へと花が移ることで、季節の推移が示されている。
二句「咲き散る園に」咲いてはまた散る梅の園で、盛りから散り際へ移る時を表す。
三句「我れ行かむ」「む」は意志の助動詞で、自ら園へ出向こうとする。ここで三句切れとなり、下の句が倒置の形で理由を添える。
四句「君が使を」「君」の使いを待つと詠み、待つ人と待たれる人の関係を示す。
結句「片待ちがてら」「片待つ」はひたすら待つ意で、「がてら」は〜しながら、〜のついでにの意。梅を見に行くついでに使いを待とうという、待つ側の心を詠んでいる。
かたまつ:ひたすら待つ。一方的に待ち続ける
- 作者
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田辺福麻呂
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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布勢の浦を行きてし見てばももしきの 大宮人に語り継ぎてむ
- 次の歌
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藤波の咲き行く見れば霍公鳥 鳴くべき時に近づきにけり