多古の崎木の暗茂に霍公鳥
来鳴き響めばはだ恋ひめやも
- 歌の意味
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多古の崎の、木々が茂って暗い木陰に、ほととぎすが来て鳴き響かせてくれたなら、これほどひどく恋しく思うことがあろうか。
- 鑑賞
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巻第十八 4051
詞書は前の歌に続き「水海に至りて遊覧する時に、各懐を述べて作る歌」
多古の崎の茂った木陰にほととぎすが来て鳴いてくれたなら、こんなにも恋しく思うことはないだろうと詠む。前歌で広縄がほととぎすの来ないことを嘆いたのを受け、主人として同じ思いを分かち合い、遊覧の日の歌群を締めくくっている。
作者の大伴家持は大伴旅人の子で、天平十八年(746)から越中守として赴任していた。万葉集の編纂に深く関わったとされ、本巻は家持の越中時代の歌日誌の性格をもつ。
左注に「右の一首は大伴宿禰家持」とあり、続けて「前の件の十五首の歌は二十五日に作る」と記されている。
初句「多古の崎」布勢の水海に臨む岬で、現在の氷見市にあった。藤の名所として知られる。
二句「木の暗茂に」「木の暗」は木が茂って暗くなったところ。夏の深い木陰をいう。
三句「霍公鳥」前歌の「山霍公鳥」を受け、同じ鳥を詠む。
四句「来鳴き響めば」「響む」は声を響かせる意。已然形+ばで、来て鳴き響かせたならと仮定する。
結句「はだ恋ひめやも」「はだ」はひどくの意。「めやも」は反語で、ひどく恋しく思うだろうか、いやそうではないの意となる。裏を返せば、ほととぎすが鳴かないために恋しさが募っていることを示している。
このくれ:木の暗。木が茂って暗くなったところ
とよむ:声を響かせる。鳴り響く
- 作者
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大伴家持
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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めづらしき君が来まさば鳴けと言ひし 山霍公鳥何か来鳴かぬ
- 次の歌
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霍公鳥今鳴かずして明日越えむ 山に鳴くとも験あらめやも