霍公鳥こよ鳴き渡れ燈火を
月夜になそへその影も見む
- 歌の意味
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ほととぎすよ、ここを通って鳴き渡れ。灯火を月の光になぞらえて、その姿も見よう。
- 鑑賞
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巻第十八 4054
詞書は前の歌に続き「掾久米朝臣広縄の館にて、田辺史福麻呂を饗する宴の歌四首」
ほととぎすよ、ここを鳴きながら渡ってゆけ、灯火を月の光に見立ててその姿も見ようと詠む。前の二首が鳴かないことを嘆いたのに対し、夜の宴の灯火を月光になぞらえて、声だけでなく姿まで見たいと呼びかける、風雅な趣向の歌である。
作者の大伴家持は大伴旅人の子で、天平十八年(746)から越中守として赴任していた。万葉集の編纂に深く関わったとされ、本巻は家持の越中時代の歌日誌の性格をもつ。
左注によれば、この歌と次歌の二首が家持の作である。
初句「霍公鳥」ほととぎすへの呼びかけで始め、前二首と同じ初句を重ねている。
二句「こよ鳴き渡れ」「こよ」はここを通っての意で、命令形で呼びかける。福麻呂が最初の宴で誦した本巻の第四千三十五首の結句「こゆ鳴き渡れ」と呼応し、福麻呂を迎えた宴と送る宴とがほととぎすへの同じ呼びかけで結ばれている。ここで二句切れとなる。
三句「燈火を」宴の座を照らす灯火で、夜の宴であることがわかる。
四句「月夜になそへ」「なそふ」はなぞらえる、見立てるの意。灯火を月の光に見立てるという趣向である。
結句「その影も見む」「影」は姿の意。声だけでなく姿も見ようという、ほととぎすへの思いの深さを示している。
なそふ:なぞらえる。見立てる
つくよ:月夜。月の光。また月
かげ:姿。光に照らされた形
- 作者
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大伴家持
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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木の暗になりぬるものを霍公鳥 何か来鳴かぬ君に逢へる時
- 次の歌
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可敝流廻の道行かむ日は五幡の 坂に袖振れ我れをし思はば