月待ちて家には行かむ我が插せる
赤ら橘影に見えつつ
- 歌の意味
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月が出るのを待って家には帰ろう。私が髪に挿している赤く色づいた橘が、月の光に照らされて見えるようにしながら。
- 鑑賞
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巻第十八 4060
詞書は前の歌に続き「太上皇の難波宮に御在しし時の歌七首[清足姫天皇なり]」「粟田女王の歌一首」
月の出を待ってから家に帰ろう、髪に挿した赤く色づいた橘を月の光に照らして見ながら、と詠む。宴の名残を惜しみ、この日いただいた橘の美しさを月光の中でも楽しもうとする心が表れ、宴の楽しさと主人への感謝を伝えている。
作者の粟田女王は奈良時代の皇族の女性で、系譜は明らかでない。
左注に「右の件の歌は、左大臣橘卿の宅に在りて肆宴したまふ御歌と奏歌となり」とある。
初句「月待ちて」月の出を待っての意。宴が夜まで続くことを示す。
二句「家には行かむ」「む」は意志の助動詞で、家に帰ろうの意。ここで二句切れとなる。
三句「我が插せる」髪に挿しているの意。宴で橘を髪飾りとしていたことがわかる。
四句「赤ら橘」赤く色づいた橘の実。前二首から続く橘の讃美を、身に着けた橘として受け継いでいる。
結句「影に見えつつ」「影」はここでは月の光の意で、月光に照らされて見えながらの意となる。初句の「月」と照応し、昼の「下照る」橘から夜の月光の橘へと場面が移っている。
さす:挿す。髪に飾る
かげ:光。ここでは月の光
- 作者
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粟田女王
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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橘の下照る庭に殿建てて 酒みづきいます我が大君かも
- 次の歌
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堀江より水脈引きしつつ御船さす しづ男の伴は川の瀬申せ