堀江より水脈引きしつつ御船さす
しづ男の伴は川の瀬申せ
- 歌の意味
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堀江から水脈をたどって導きながら、御船を棹さして進める船人たちよ、川の浅瀬を申し上げよ。
- 鑑賞
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巻第十八 4061
詞書は前の歌に続き「太上皇の難波宮に御在しし時の歌七首[清足姫天皇なり]」
堀江から水脈をたどって御船を棹さし進める船人たちに、川の浅瀬を申し上げよと命じる歌である。太上天皇の御船が安全に堀江を遡れるよう、船を操る人々に注意を促しており、行幸に仕える者の緊張感が表れている。
作者は記されていない。左注に「右の件の歌は、御船綱手を以て江を泝り遊宴せし日に作る。伝誦する人は田辺史福麻呂これなり」とあり、福麻呂が伝え誦した歌であることがわかる。
左注により、この歌と次歌は、御船を綱で引いて堀江を遡り遊宴した日の歌である。冒頭の第四千五十六首と同じく「堀江」で始まり、七首の歌群は堀江の歌で始まり堀江の歌で終わる構成になっている。
初句「堀江より」「より」は起点を表す。本巻の第四千五十六首の「堀江には」と同じく堀江を詠み起こし、歌群を呼応させている。
二句「水脈引きしつつ」「水脈引き」は船の通る水路を案内すること。「つつ」は継続を表す。
三句「御船さす」「さす」は棹をさして船を進める意。太上天皇の御船である。
四句「しづ男の伴は」「しづ男」は身分の低い男、ここでは船を操る人々を指す。「伴」は集団の意である。
結句「川の瀬申せ」「瀬」は川の浅い所、「申せ」は「言へ」の謙譲語の命令形で、浅瀬を大君に申し上げよの意となる。
みをびき:船の通る水路を案内すること
しづを:身分の低い男
せ:川の浅い所
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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月待ちて家には行かむ我が插せる 赤ら橘影に見えつつ
- 次の歌
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夏の夜は道たづたづし船に乗り 川の瀬ごとに棹さし上れ