夏の夜は道たづたづし船に乗り
川の瀬ごとに棹さし上れ
- 歌の意味
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夏の夜は道がおぼつかない。船に乗って、川の瀬ごとに棹をさしながら上っていけ。
- 鑑賞
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巻第十八 4062
詞書は前の歌に続き「太上皇の難波宮に御在しし時の歌七首[清足姫天皇なり]」
夏の夜は道がおぼつかないから、船に乗り川の瀬ごとに棹をさして上っていけと詠む。遊宴が夜に及び、陸路より船で帰るよう勧めたものと考えられ、前歌に続いて御船を安全に進めようとする心が表れている。
作者は記されていない。左注に「右の件の歌は、御船綱手を以て江を泝り遊宴せし日に作る。伝誦する人は田辺史福麻呂これなり」とあり、福麻呂が伝え誦した歌であることがわかる。
初句「夏の夜は」夏の夜を取り立てて示す。遊宴が夏の夜まで続いたことがわかる。
二句「道たづたづし」「たづたづし」はおぼつかない、心もとないの意。暗い夜道の不安を表し、ここで二句切れとなる。
三句「船に乗り」陸路の不安に対して、船での帰り道を勧める。
四句「川の瀬ごとに」前歌の結句「川の瀬申せ」を受け、同じ「川の瀬」を詠む。前歌が浅瀬を申し上げよと命じたのに応じ、瀬ごとに棹をさせと具体的に示している。
結句「棹さし上れ」命令形で結ぶ。前歌の「御船さす」と呼応し、二首が堀江を遡る御船の情景で結ばれている。
さを:棹。船を進めるための長い竿
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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堀江より水脈引きしつつ御船さす しづ男の伴は川の瀬申せ
- 次の歌
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常世物この橘のいや照りに わご大君は今も見るごと