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大君は常磐にまさむ橘の
殿の橘ひた照りにして

歌の意味
大君は永遠に変わらずにいらっしゃるだろう。橘の殿の橘が、ひたすらに照り輝いていて。
鑑賞
巻第十八 4064

詞書は前の歌に続き「後に橘の歌に追和する二首」
 大君は常磐のように永遠にいらっしゃるだろう、橘の殿の橘がひたすら照り輝いていると詠む。前歌に続いて難波宮での橘の歌に追和したもので、常緑の橘に大君の長寿を託し、橘諸兄の邸の繁栄もあわせてたたえている。
 作者の大伴家持は大伴旅人の子で、天平十八年(746)から越中守として赴任していた。万葉集の編纂に深く関わったとされ、本巻は家持の越中時代の歌日誌の性格をもつ。
 左注に「右の二首は大伴宿禰家持作る」とある。

 初句「大君は」前歌の四句「わご大君は」を受け、大君を主題として冒頭に掲げている。
 二句「常磐にまさむ」「常磐」は永遠に変わらないこと、「ます」は「あり」の尊敬語、「む」は推量の助動詞である。ここで二句切れとなる。
 三句「橘の」本巻の第四千五十八首の御製の初句と同じ句で、橘の讃美を受け継いでいる。
 四句「殿の橘」本巻の第四千五十九首の「殿建てて」を受け、宴の御殿の橘をいう。橘を重ねる表現は御製の「橘のとをの橘」にならったものである。
 結句「ひた照りにして」「ひた照り」はひたすら照り輝くこと。前歌の「いや照りに」と対をなし、二首の結びを照り輝く橘でそろえている。

ときは:常磐。永遠に変わらないこと
ます:「あり」の尊敬語。いらっしゃる
作者
大伴家持
出典
万葉集
前の歌
常世物この橘のいや照りに わご大君は今も見るごと
次の歌
朝開き入江漕ぐなる楫の音の つばらつばらに我家し思ほゆ