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卯の花のともにし鳴けば霍公鳥
いやめづらしも名告り鳴くなへ

歌の意味
卯の花とともに鳴くので、ほととぎすはいよいよ心ひかれる。自分の名を名乗るように鳴くにつれて。
鑑賞
巻第十八 4091

詞書は前の歌に続き「独り幄の裏に居て、遥かに霍公鳥の喧くを聞きて作る歌一首[并せて短歌]」「反歌」
 卯の花の咲くころにそれとともに鳴くので、ほととぎすはいよいよ心ひかれる、名を名乗るように鳴くにつれてと詠む。卯の花とほととぎすという初夏の取り合わせに、ほととぎすの鳴き声の魅力を重ねてたたえている。
 作者の大伴家持は大伴旅人の子で、天平十八年(746)から越中守として赴任していた。万葉集の編纂に深く関わったとされ、本巻は家持の越中時代の歌日誌の性格をもつ。

 初句「卯の花の」卯の花はウツギの花で、ほととぎすとよく取り合わせて詠まれる。
 二句「ともにし鳴けば」「し」は強意の副助詞で、卯の花とともに鳴くのでの意。已然形+ばで理由を表す。
 三句「霍公鳥」前歌と同じく三句にほととぎすを置き、反歌三首をそろえている。
 四句「いやめづらしも」「めづらし」は心ひかれる、慕わしいの意、「も」は詠嘆である。ここで四句切れとなる。
 結句「名告り鳴くなへ」「なへ」は〜するにつれての意。ほととぎすの鳴き声が自分の名を名乗るように聞こえることをいう。坂上郎女に贈った本巻の第四千八十四首の「名告り鳴くなる霍公鳥いやめづらしく」と言葉を共有し、同じ発想が繰り返されている。

うのはな:ウツギの花。陰暦四月に白い花を咲かせる
なのる:名を名乗る
作者
大伴家持
出典
万葉集
前の歌
ゆくへなくありわたるとも霍公鳥 鳴きし渡らばかくや偲はむ
次の歌
霍公鳥いとねたけくは橘の 花散る時に来鳴き響むる