もののふの八十氏人も吉野川
絶ゆることなく仕へつつ見む
- 歌の意味
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朝廷に仕える多くの氏の人々も、吉野川の流れが絶えないように、絶えることなくお仕えしながら、この地を見よう。
- 鑑賞
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巻第十八 4100
詞書は前の歌に続き「芳野の離宮に幸行さむ時の為に、儲けて作る歌一首[并せて短歌]」「反歌」
朝廷に仕える多くの氏の人々も、吉野川の流れのように絶えることなくお仕えしながら、この地を見ようと詠む。前歌が天皇の姿をたたえたのに対し、この歌は仕える臣下の側から、永遠の奉仕を誓っている。
作者の大伴家持は大伴旅人の子で、天平十八年(746)から越中守として赴任していた。万葉集の編纂に深く関わったとされ、本巻は家持の越中時代の歌日誌の性格をもつ。題詞と左注には作者名が記されていないが、前後の配列から家持の作とされている。
柿本人麻呂の吉野讃歌の反歌、巻第一の第三十七首の「見れど飽かぬ吉野の川の常滑の絶ゆることなくまたかへり見む」を踏まえた表現で、宮廷讃歌の伝統を受け継いでいる。
初句「もののふの」朝廷に仕える武官、文官をいい、「八十」にかかる枕詞としても用いられる。
二句「八十氏人も」多くの氏の人々の意。家持の属する大伴氏もその一つである。
三句「吉野川」吉野の離宮のそばを流れる川で、流れが絶えないことから四句の「絶ゆることなく」を導く。
四句「絶ゆることなく」巻第一の第三十七首の人麻呂の歌と同じ句で、吉野讃歌の伝統的な表現を踏まえている。
結句「仕へつつ見む」「つつ」は継続、「む」は意志の助動詞である。前歌の「あり通ひ見す」が天皇の「見る」であったのに対し、ここでは臣下の「見る」を詠み、仕える側と仕えられる側との対をなしている。
もののふ:朝廷に仕える官人。武人
やそうぢひと:多くの氏の人々
- 作者
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大伴家持
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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いにしへを思ほすらしも我ご大君 吉野の宮をあり通ひ見す
- 次の歌
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白玉を包みて遣らばあやめぐさ 花橘にあへも貫くがね