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かくしても相見るものを少なくも
年月経れば恋ひしけれやも

歌の意味
このようにしてまた会えるものだったのに、年月が経つと、少しどころではなく恋しく思われたことだ。
鑑賞
巻第十八 4118

詞書は前の歌に続き「国の掾久米朝臣広縄、天平二十年を以て朝集使に附きて京に入り、その事畢りて、天平感宝元年閏五月二十七日に本任に還り到る。仍りて長官の舘にて詩酒の宴を設けて楽飲す。時に主人守大伴宿禰家持の作る歌一首[并せて短歌]」「反歌二首」
 こうしてまた会えるものだったのに、年月が経つと、ひどく恋しく思われたことだと詠む。再会してみれば待った日々もこのためだったと思える一方で、離れていた間の恋しさを改めて振り返り、広縄への親しみを表している。
 作者の大伴家持は大伴旅人の子で、天平十八年(746)から越中守として赴任していた。万葉集の編纂に深く関わったとされ、本巻は家持の越中時代の歌日誌の性格をもつ。

 初句「かくしても」このようにしてでも、の意。今日の再会の場を指している。
 二句「相見るものを」「ものを」は逆接で、会えるものだったのにの意。ここで二句切れとなる。
 三句「少なくも」少しばかりであろうか、の意で、結句の反語と呼応し、少しどころではなくの意を表す。
 四句「年月経れば」前歌の「去年の秋」から今日までの時の流れを受けている。
 結句「恋ひしけれやも」「やも」は反語で、少しばかり恋しかっただろうか、いやひどく恋しかったの意。前歌の「めづらし」という再会の喜びに対し、離れていた間の恋しさを詠み、二首が今と過去とを詠み分けている。

あひみる:互いに会う
作者
大伴家持
出典
万葉集
前の歌
去年の秋相見しまにま今日見れば 面やめづらし都方人
次の歌
いにしへよ偲ひにければ霍公鳥 鳴く声聞きて恋しきものを