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いにしへよ偲ひにければ霍公鳥
鳴く声聞きて恋しきものを

歌の意味
昔から人々が心ひかれて賞美してきたので、ほととぎすの鳴く声を聞くと、恋しく思われるのだなあ。
鑑賞
巻第十八 4119

詞書「霍公鳥の喧くを聞きて作る歌一首」
 昔から人々が賞美してきたので、ほととぎすの声を聞くと恋しさがわくのだと詠む。ほととぎすの声が人の心を動かすのは、古くから愛されてきた伝統があるからだと述べ、歌の伝統を受け継ぐ者としての自覚もうかがえる。
 作者の大伴家持は大伴旅人の子で、天平十八年(746)から越中守として赴任していた。万葉集の編纂に深く関わったとされ、本巻は家持の越中時代の歌日誌の性格をもつ。題詞と左注には作者名が記されていないが、前後の配列から家持の作とされている。

 初句「いにしへよ」「よ」は起点を表し、昔から、の意である。ほととぎすを愛でてきた長い伝統を示す。
 二句「偲ひにければ」「偲ふ」は心ひかれて賞美する意。「にけれ」は完了と過去の助動詞で、已然形+ばで理由を表す。
 三句「霍公鳥」本巻に繰り返し詠まれてきたほととぎすを、ここでも中心に置いている。
 四句「鳴く声聞きて」ほととぎすの声を聞いて、の意である。
 結句「恋しきものを」「ものを」は詠嘆で、恋しく思われることだなあと結ぶ。何が恋しいのかを明示せず、ほととぎすの声がかきたてる漠然とした恋しさを余情として残している。

しのふ:心ひかれて思う。賞美する
作者
大伴家持
出典
万葉集
前の歌
かくしても相見るものを少なくも 年月経れば恋ひしけれやも
次の歌
見まく欲り思ひしなへにかづらかけ かぐはし君を相見つるかも