朝参の君が姿を見ず久に
鄙にし住めば我れ恋ひにけり
- 歌の意味
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朝廷に参内するあなたの姿を長い間見ないまま、田舎に住んでいたので、私は恋しく思っていたことだ。
- 鑑賞
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巻第十八 4121
詞書は前の歌に続き「京に向かはむ時に、貴人を見、及び美人に相ひて飲宴せむ日の為に、懐を述べて儲けて作る歌二首」
朝廷に参内するあなたの姿を長く見ないで田舎に住んでいたので、恋しく思っていたと詠む。前歌が都の美人との出会いを想定したのに対し、この歌は都の貴人に会う日を想定し、地方で暮らす身の都への思いを述べている。
作者の大伴家持は大伴旅人の子で、天平十八年(746)から越中守として赴任していた。万葉集の編纂に深く関わったとされ、本巻は家持の越中時代の歌日誌の性格をもつ。
左注に「同じ閏五月二十八日に、大伴宿禰家持作る」とある。原文には初句と二句について「一に云ふ、はしきよし妹が姿を」という異伝の注記がある。歌の本文ではないため除き、本文に従った。異伝によれば、いとしい人の姿を、となり、前歌と同じく美人に会う歌となる。
初句「朝参の」「朝参」は朝廷に参内することで、宮廷に仕える貴人の姿をいう。
二句「君が姿を」都の貴人を指す。異伝では「妹が姿を」となる。
三句「見ず久に」見ないまま久しくの意で、長く離れていることを示す。
四句「鄙にし住めば」「鄙」は都から遠い田舎、「し」は強意で、田舎に住んでいるのでの意となる。越中での暮らしを指す。
結句「我れ恋ひにけり」「に」は完了、「けり」は詠嘆である。前歌の「相見つるかも」が会えた喜びであったのに対し、ここでは会えなかった間の恋しさを詠み、二首が対をなしている。
てうさむ:朝参。朝廷に参内すること
ひな:都から遠く離れた田舎
- 作者
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大伴家持
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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見まく欲り思ひしなへにかづらかけ かぐはし君を相見つるかも
- 次の歌
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この見ゆる雲ほびこりてとの曇り 雨も降らぬか心足らひに