安の川こ向ひ立ちて年の恋
日長き子らが妻どひの夜ぞ
- 歌の意味
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安の川に向かい合って立ち、一年の間恋い慕って長い日々を過ごしてきた二人が、妻問いをする夜なのだ。
- 鑑賞
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巻第十八 4127
詞書は前の歌に続き「七夕の歌一首[并せて短歌]」「反歌二首」
天の安の川を隔てて向かい合い、一年もの長い間恋い続けてきた二人が、ついに逢う夜だと詠む。前歌が逢えない嘆きを思いやったのに対し、この歌は七夕の夜の逢瀬そのものを祝い、年に一度の再会の喜びを詠んでいる。
作者の大伴家持は大伴旅人の子で、天平十八年(746)から越中守として赴任していた。万葉集の編纂に深く関わったとされ、本巻は家持の越中時代の歌日誌の性格をもつ。
左注に「右、七月七日に天漢を仰ぎ見て、大伴宿禰家持作る」とある。
初句「安の川」天の安の川のことで、天上の川、すなわち天の川をいう。長歌の「安の川中に隔てて」を受けている。
二句「こ向ひ立ちて」「こ」は接頭語で、向かい合って立っての意。長歌の「向ひ立ち」を受けている。
三句「年の恋」一年にわたる恋の意で、年に一度しか会えない二人の思いの長さを表す。
四句「日長き子らが」「日長し」は日数が長い意で、長く待ち続けた二人をいう。
結句「妻どひの夜ぞ」「妻どひ」は男が女のもとへ通うこと、「ぞ」は強く言い切る終助詞である。前歌の「秋にあらずとも」という願いに対し、ここでは秋の七夕の夜こそが逢瀬の夜だと言い切り、二首が願いと現実とを詠み分けている。
やすのかは:天の安の川。天上の川。天の川
つまどひ:男が女のもとへ通うこと。求婚
- 作者
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大伴家持
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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天の川橋渡せらばその上ゆも い渡らさむを秋にあらずとも
- 次の歌
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草枕旅の翁と思ほして 針ぞ賜へる縫はむ物もが