針袋取り上げ前に置き返さへば
おのともおのや裏も継ぎたり
- 歌の意味
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針袋を取り上げて前に置き、裏返してみると、なんとまあ、裏まで継ぎ合わせてある。
- 鑑賞
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巻第十八 4129
詞書は前の歌に続き「越前国の掾大伴宿禰池主の来贈せる戯れの歌四首」
贈られた針袋を手に取って前に置き、裏返してみると、なんと裏まで継ぎが当ててあると詠む。贈り物の針袋をしげしげと眺める様子を、大げさな驚きをまじえて描いた戯れの歌である。
作者の大伴池主は大伴氏の一族で、家持が越中守であったころ越中の掾として仕え、家持と多くの歌や書簡を交わした。このときは越前国の掾に転じていた。
初句「針袋」針を入れておく袋で、家持から贈られた品である。続く本巻の第四千百三十首、本巻の第四千百三十三首も「針袋」で始まり、戯れの歌群を貫く言葉となっている。
二句「取り上げ前に置き」九音の大きな字余りで、針袋を手に取って前に置くまでの動作を一気に詠み込んでいる。
三句「返さへば」「返さふ」は裏返す意で、已然形+ばで、裏返してみると、の意となる。
四句「おのともおのや」驚きを表す感動の言葉とされるが、語義には諸説がある。
結句「裏も継ぎたり」「たり」は存続の助動詞で、裏まで継ぎ合わせてあるの意。手の込んだ作りへの驚きとも、古びた品へのからかいとも受け取れる、とぼけた結びである。
はりぶくろ:針を入れておく袋
かへさふ:裏返す。繰り返し返す
- 作者
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大伴池主
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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草枕旅の翁と思ほして 針ぞ賜へる縫はむ物もが
- 次の歌
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針袋帯び続けながら里ごとに 照らさひ歩けど人もとがめず