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雪の上に照れる月夜に梅の花
折りて送らむはしき子もがも

歌の意味
雪の上に月の光が照り映える夜に、梅の花を折って贈るような、いとしい人がいたらよいのに。
鑑賞
巻第十八 4134

詞書「宴席にて雪月梅花を詠む歌一首」
 雪の上に月が照り映える夜に、梅の花を折って贈るいとしい人がいればよいのにと詠む。宴の席で雪と月と梅の花という題を与えられて詠んだ歌で、白一色の美しい冬の夜の景色に、それを分かち合う人のいない寂しさを重ねている。
 作者の大伴家持は大伴旅人の子で、天平十八年(746)から越中守として赴任していた。万葉集の編纂に深く関わったとされ、本巻は家持の越中時代の歌日誌の性格をもつ。
 左注に「右の一首は、十二月に大伴宿禰家持作る」とある。雪と月と梅の花を一首に詠み込んだ歌として、後の雪月花の美意識につながる早い例として知られる。

 初句「雪の上に」一面に積もった雪を詠み起こし、題の「雪」を示す。
 二句「照れる月夜に」「月夜」は月の光、月の照る夜の意。雪の上に月光が照り映える情景で、題の「月」を示す。
 三句「梅の花」題の「梅花」を示し、雪と月と梅という三つの白い景物がそろう。
 四句「折りて送らむ」「む」は婉曲の助動詞で、折って贈るような、の意となる。
 結句「はしき子もがも」「はしき」はいとしい、「もがも」は願望の終助詞で、いとしい人がいればよいのにと結ぶ。美しい景色を見せたい人がそばにいない寂しさがにじむ。

つくよ:月夜。月の光。また月の照る夜
こ:子。いとしい人を親しんで呼ぶ語
作者
大伴家持
出典
万葉集
前の歌
針袋これは賜りぬすり袋 今は得てしか翁さびせむ
次の歌
我が背子が琴取るなへに常人の 言ふ嘆きしもいやしき増すも