我が背子が琴取るなへに常人の
言ふ嘆きしもいやしき増すも
- 歌の意味
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あなたが琴を手に取って弾くにつれて、世の人が言う嘆きというものが、いよいよしきりに増してくることだ。
- 鑑賞
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巻第十八 4135
詞書なし。左注に「右の一首は、少目秦伊美吉石竹の舘の宴にて、守大伴宿禰家持作る」とある
あなたが琴を手に取って弾くにつれて、世の人が言う嘆きというものがいよいよ募ってくると詠む。少目秦石竹の館の宴で、琴の音に心を揺さぶられたことを詠んだ歌で、琴の調べが人の心にしみ入るさまを表している。
作者の大伴家持は大伴旅人の子で、天平十八年(746)から越中守として赴任していた。万葉集の編纂に深く関わったとされ、本巻は家持の越中時代の歌日誌の性格をもつ。
秦石竹の館での宴は、本巻の第四千八十六首の百合の髪飾りの宴にも見え、石竹がしばしば宴を催していたことがわかる。
初句「我が背子が」「背子」は男性を親しんで呼ぶ語で、琴を弾く宴の主人の石竹を指すとみられる。
二句「琴取るなへに」「なへに」は〜するにつれて、の意で、琴を弾くにつれてを表す。
三句「常人の」世の常の人の意。坂上郎女の第四千八十首の初句「常人の」と同じ語で、そちらが恋の度合いを比べる基準とした「常人」を、ここでは世の人が口にする嘆きとして用いている。
四句「言ふ嘆きしも」「し」と「も」は強意で、世の人が言う嘆きというものの意。琴の音が呼び起こす物思いをいう。
結句「いやしき増すも」「いや」はいよいよ、「しく」はしきりにの意、「も」は詠嘆である。琴の音につれて物思いが募るさまを詠んで結ぶ。
せこ:背子。男性を親しんで呼ぶ語
しく:重なる。しきりに〜する
- 作者
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大伴家持
- 出典
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万葉集
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雪の上に照れる月夜に梅の花 折りて送らむはしき子もがも
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あしひきの山の木末のほよ取りて かざしつらくは千年寿くとぞ