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あしひきの山の木末のほよ取りて
かざしつらくは千年寿くとぞ

歌の意味
山の梢に生えているほよを取って髪に挿したのは、千年の長寿を祝ってのことである。
鑑賞
巻第十八 4136

詞書「天平勝宝二年正月二日、国庁にて饗を諸郡司等に給ふ宴の歌一首」
 山の梢に生えるほよを取って髪に挿したのは、千年の長寿を祝ってのことだと詠む。天平勝宝二年(750)の正月二日、国庁で郡司たちをもてなした新年の宴の歌で、冬でも青々としたほよを挿頭にして、一座の長寿と繁栄を祝っている。
 作者の大伴家持は大伴旅人の子で、天平十八年(746)から越中守として赴任していた。万葉集の編纂に深く関わったとされ、本巻は家持の越中時代の歌日誌の性格をもつ。
 左注に「右の一首は、守大伴宿禰家持作る」とある。

 初句「あしひきの」山にかかる枕詞である。
 二句「山の木末の」「木末」は木の枝先、梢の意である。
 三句「ほよ取りて」「ほよ」は寄生木(やどりぎ)のことで、冬でも枯れない生命力の強さから、長寿を祝うものとされた。
 四句「かざしつらくは」「かざす」は草木の枝や花を髪に挿すこと、「つらく」は完了の助動詞「つ」のク語法で、挿したことはの意となる。
 結句「千年寿くとぞ」「寿く」は祝う意、「ぞ」は強意で、千年の長寿を祝うためだと言い切る。新年の宴にふさわしい、言祝ぎの歌である。

ほよ:寄生木(やどりぎ)
こぬれ:木末。木の枝先。梢
ほく:寿く。祝う。祝福する
作者
大伴家持
出典
万葉集
前の歌
我が背子が琴取るなへに常人の 言ふ嘆きしもいやしき増すも
次の歌
正月立つ春の初めにかくしつつ 相し笑みてば時じけめやも