夜くたちて鳴く川千鳥うべしこそ
昔の人も偲ひ来にけれ
- 歌の意味
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夜が更けて鳴く川千鳥よ。なるほどもっともなことに、昔の人もこの声を慕ってきたのだなあ。
- 鑑賞
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巻第十九 4147
詞書は前の歌に続き「夜の裏に千鳥の喧くを聞く歌二首」
夜更けに鳴く川千鳥の声を聞き、昔の人々がこの声に心を寄せてきたのももっともだと納得した歌である。前歌で千鳥の声に心をしおれさせた作者が、その感動を古人と共有するものとしてとらえ直している。
「昔の人」には、前歌で踏まえた柿本人麻呂をはじめ、千鳥を詠んできた先人たちが意識されていると考えられ、古歌への敬慕がうかがえる。
作者の大伴家持は、大納言大伴旅人の子で、天平十八年(746)から越中守として越中国府(現在の富山県高岡市伏木)に赴任していた。万葉集の編纂に深く関わったとされる奈良時代を代表する歌人である。
初句「夜くたちて」は、前歌の初句「夜ぐたちに」と同じ語を用い、二首が同じ夜の連作であることを示している。
二句「鳴く川千鳥」は、前歌の結句「鳴く千鳥かも」を受け、声の主を川千鳥と明示している。
三句「うべしこそ」の「うべ」はなるほどもっともだの意、「し」は強意、「こそ」は係助詞で、結句の「けれ」と係り結びをなす。
四句「昔の人も」の「も」は、自分と同じように昔の人もの意で、時代を超えた共感を表している。
結句「偲ひ来にけれ」は、「こそ」の結びとして已然形「けれ」で終わり、昔から慕ってきたのだと深く納得する気持ちを表している。
くたつ:盛りが過ぎて傾く、夜が更ける
かはちどり:川辺に住む千鳥
- 作者
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大伴家持
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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夜ぐたちに寝覚めて居れば川瀬尋め 心もしのに鳴く千鳥かも
- 次の歌
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杉の野にさ躍る雉いちしろく 音にしも泣かむ隠り妻かも