奥山の八つ峰の椿つばらかに
今日は暮らさね大夫の伴
- 歌の意味
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奥山の峰々に咲く椿の名のように、心ゆくまで十分に、今日一日を楽しく過ごしてほしい。ますらおの諸君よ。
- 鑑賞
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巻第十九 4152
詞書は前の歌に続き「三日、守大伴宿祢家持の館にして宴する歌三首」
上巳の宴に集った官人たちに、今日は心ゆくまで楽しんでほしいと呼びかけた主人の歌である。奥山の椿を序に用い、「つばき」から「つばらかに」を導く音の響きに、宴の興を盛り上げる遊び心がある。
宴の主人として客を労い、ともに国司として働く仲間への親しみを込めた挨拶の歌となっている。
作者の大伴家持は、大納言大伴旅人の子で、天平十八年(746)から越中守として越中国府(現在の富山県高岡市伏木)に赴任していた。万葉集の編纂に深く関わったとされる奈良時代を代表する歌人である。
初句「奥山の」は、人里離れた深い山を示し、二句とともに序詞を構成している。
二句「八つ峰の椿」の「八つ峰」は幾重にも重なった峰々の意で、本巻の第四千百四十九首の二句「八つ峰の雉」と同じ語を用いている。初句からここまでが、「つばき」と「つばらかに」の同音の繰り返しによって三句を導く序詞である。
三句「つばらかに」は、十分に、心ゆくまでの意で、序詞の音を受けて一首の主意へと転じている。
四句「今日は暮らさね」の「ね」は他者への願望を表す終助詞で、今日一日を過ごしてほしいと願う気持ちを示している。
結句「大夫の伴」は、宴に集った官人たちへの呼びかけで、親しみと敬意を込めて結んでいる。
つばらかに:十分に、心ゆくまで
ますらを:立派な男子、ここでは宴に集う官人たち
とも:仲間、同じ職に連なる人々
- 作者
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大伴家持
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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今日のためと思ひて標しあしひきの 峰の上の桜かく咲きにけり
- 次の歌
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漢人も筏浮かべて遊ぶといふ 今日ぞ我が背子花かづらせな